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ひぐらしがなくと…

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お盆の前だったかな、それともお盆の後だったか覚えていませんが、ひぐらしが泣いていたのは覚えていました。

今でも鳴き声を聞くとあの時の出来事を思い出しては、あの夏の出来事を垣間見る事があります。

私がまだ建築資材の会社で発注業務をしていた頃の話ですが、ある一軒家のリフォームをしている大工さんから連絡があり、


発注したい材料があるのだが、何軒か現場が、重なっているので忙しくて行くことが出来ないので、私が変わりに寸法を取って発注してもらいたいという事でした。

大工さんから現場の地図と鍵を預かると、現地に向かった私は、誰も住んでない貸家の中古住宅へ向かいました。

その住宅は一階は駐車場と玄関、台所と居間、二階は和室ニ部屋に台所と居間があ

り、二世帯コンクリート住宅で先日入居者が決まった為のリフォームを依頼されたとききました。

現場に到着すると、隣りには和風スナックの店舗があり、その店は数年前に閉店していて今は営業していないとの事だった。

躊躇なく駐車場のシャッターを開けて中を見ると無造作に木材を置いていたので、几帳面な大工さんなのに珍しいなと思いなが


ら、車庫から二階に上がる階段があり、少し迷路っぽい家だなと思いながら、早速資材の計算を始めました。

暑い日でありながら、汗を拭うのも無意識にするくらい仕事に集中していると、昼を知らせる地区のチャイムに気が付き、一旦手を休めて、弁当を取り出して昼食にすることにしました。

六畳一間の和室で昼食後、私はレースカーテンを一杯引き、少しでも風が窓から入るようにして、ゴロンと横になって昼寝を始めました。

暫くすると、ひぐらしが鳴り響き昼寝には心地よいBGMだと気持ち良く寝てしまいました。

昼休みが終わる頃、そろそろ仕事だと思いながらも瞼は閉じたままでしたが、

近くで誰かがヒソヒソと話をしている声が聞こえてきました…それも1人でなくて何人も…

声が聞こえてくる場所は、どうみても隣りのスナックだったので、ああ、昼間は喫茶店夜はスナックで営業してるのだなと思っていると、

あれ❓❗️

確かスナックは閉店していると聞いたけどなと思って目を開けて、起き上がった瞬間

レースのカーテンが、風でサラサラと揺れました。

そしてカーテンの下から誰かの脚が見えました。

一瞬固まった私は、その脚を見た時たどって上体を見る事はしませんでした、ただこの世に存在する温かみがある脚ではなく、この世に存在しない冷たいものを感じ、

事故物件…かな…。

ひぐらしの鳴き声が一層大きく感じました。

この話は次記事へ

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